
学歴と職種の関連性
就労ビザの取得において切っても切れない要件として、学歴があります。
基本的に就労ビザを取得する際には、この学歴に気を留めなければならず、どんなに優秀な外国人であったとしても最悪学歴なしということで不許可になることさえあります。
学んだ学校での専攻と職種の関連性
ここでは、学歴と職種をリンクさせて就労ビザを取得するための関連性についてお話をします。
この学歴が特に影響を与える就労ビザの代表格は「技術・人文知識・国際業務」ビザです。
申請件数も就労ビザの中では多いビザになりますので、この就労ビザに基づいて解説をさせていただきます。
●学歴と認められるのは?
学歴というと、一見すると学校を卒業してさえすればいいと考えがちですが、就労ビザ取得においては学歴とみなすものとみなさないものがあります。
(完全に学歴とみなされるもの)
・大学院(海外卒業)
・大学院(国内卒業)
・大学(海外卒業)
・大学(国内卒業)
・短期大学(海外卒業)
・短期大学(国内卒業)
(一部学歴とみなされるもの)
・専門学校(国内卒業)
<注意>
専門学校は海外卒業の場合は学歴と認められません。
(学歴とみなされないもの)
・日本語学校
・専門学校(海外卒業)
●学歴との関連性の例
①海外の大学で工学部の外国人が、日本のIT企業へ就職が決まって、そこではシステムエンジニアとして仕事をする。
②日本の専門学校でビジネススキル関連の内容を学んだ外国人が、レストラン経営の会社の総務部門で総務の仕事をする。
③日本の大学で経営学部を卒業した外国人が、商社の人事部で翻訳通訳業務の仕事をする。
●採用側(企業、事業主)の気をつけるべき観点
1、会社のビジネスモデルによっては、それで不許可になる場合があります。
これはどのようなことかと言いますと、この「技術・人文知識・国際業務」ビザは、職種が限定されており、かつ「単純労働」をさせることはもちろんできません。
ですが、例えば採用側の企業が飲食店をメインに事業展開をしている場合、入管として審査の際にいわゆるホールスタッフなどの「単純労働」をさせるのでは?と疑念を抱きます。
ここで気をつけて欲しいのは、ビジネスモデルが原因で許可不許可になるわけではなく、あくまでもどのような職種の仕事をしてもらうかが重要ですから、単純労働がメインになっている企業などにおいてもきちんとその単純労働の仕事(例:ホールスタッフ)を外国人スタッフにはさせないことを立証すればいいということです。
この立証が他のビジネスモデルを採用している企業よりは注意を要しますので、ここは気をつけるべきポイントといえます。
2、会社のビジネスモデルが事務職であっても新規事業展開分野が単純労働系のモデルの場合
これは、当初の企業ビジネスモデルが事務職など「技術・人文知識・国際業務」の分野に合致している仕事だとしても、新規に事業展開をした分野が単純労働系(例:居酒屋、レストラン)の分野の場合、そこの分野の事務職として外国人スタッフに働いてもらいたい場合は、1のように気をつけるべきです。やはりこの場合は、あくまでも単純労働はさせないことを入管に納得してもらう立証をしていくことになります。
3、採用したけれども、ビザが出ないことがあります。
これはある意味企業経営にとっては致命的と言えることです。
入管はあくまでも在留資格の該当性などがあるかどうかを判断します。雇用契約などがあるからビザを許可するというスタンスでは決してありません。
そうなると、採用段階に採用担当者の方などがビザが取得できると思っていても、場合によっては在留資格なしと入管に判断されてしまい不許可になってしまう場合もあり得ます。
特に気をつけなければいけないのは、初めて外国人スタッフを採用しようとか、まだ採用経験が浅い企業や事業主の方です。
外国人材管理は多岐に渡りますので、なかなか知識が追いつかない部分がどうしても存在してしまいます。
うっかり、ビザが取得できない外国人を採用することにならないようにお気をつけください。
(注意)
雇用契約を結ぶことが就労ビザ申請の要件ですので、ビザが取得できなかった場合でも、その雇用契約は有効です。そうなると、解雇の規定など労務管理もきちんとしなければ後々トラブルになる可能性もありますので、雇用契約書を作成する段階からお気をつけください。
例えば、雇用契約書にはビザが取得できない場合は採用しないといった文言を付け加えるなど、トラブル防止に努めることも企業や事業主の責任と言えるでしょう。
●学歴を満たさない場合は?
採用したい外国人スタッフが学歴を満たさない場合は、絶対的にビザを取得できないのか?
これは、よくある質問ですが、実は学歴だけではなく「実務経験」という要件が就労ビザにはありますので、そちらを満たしている場合は就労ビザを取得できる可能性も残されています。
ただし、あくまでも学歴と職種のリンクの在留資格でもありますので、実務経験と職種がリンクしているかの自己判断は危険です。
この場合は、一度ビザ申請専門の行政書士などにご相談いただくことをお勧めします。
(学歴要件)
・3年以上の実務経験で可能な職種
「通訳・翻訳」
「語学学校の教員」
など
・10年以上の実務経験が必要な職種
上記の職種以外