企業内転勤
企業内転勤ビザとは、「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、外国の事業所から本邦にある事業所に期間を定めて転勤し、当該事業所において行う技術または人文知識・国際業務の在留資格に対応する活動」を言います。
つまり、海外にある企業の本社などから期間を定める形で、日本の支店や事業所に転勤辞令に基づいて赴任する際に必要な在留資格になります。(その逆に、日本にある本社に海外進出後の海外の事業所や支店などから、日本本社に赴任する場合も考えられます。)
●転勤とは?
企業内転勤ビザの転勤とは以下に記載する異動のことを言います。
①親会社と子会社間の異動
②本店(本社)・支店(支社)営業所間の異動
③子会社間の異動
④孫会社間の異動
⑤親会社、孫会社間の異動
⑥子会社・孫会社間の異動
⑦関連会社への異動※親会社と関連会社間の異動もしくは子会社と子会社の関連会社間の異動のみに限定
●どのような仕事でも可能なのか?
企業内転勤ビザの取得の際のご相談時によくある質問として、このビザで日本で就かせる仕事はどのようなものでもいいのか?というものです。
これは結論として、ダメです。いわゆる単純労働系の仕事は許可されません。
この企業内転勤ビザで認められる活動内容は、「技術・人文知識・国際業務」の範囲内のものに限定されています。
その代わりに、この企業内転勤ビザに関しては、「学歴」は許可の要件として定められていません。ですので、日本語学校や高校卒業の外国人スタッフでもそのほかの要件を満たせば、取得ができる在留資格となります。
●新卒のスタッフも対象になるか?
このご相談内容もよくあるのですが、学歴が不問であるという理由からか、新卒で雇用した(雇用する)外国人スタッフをこの企業内転勤ビザで日本に呼び寄せることはできるのか?ということを言われます。
ですが、このビザに関しては新卒スタッフは許可要件を満たしません。何故ならば、かつてこの在留資格を日本で安価な単純労働に就かせる名目で悪用した経緯があるため、以下のような要件を定めています。
・申請前1年以上海外事業所で勤務していること
●日本人と同等額以上の報酬とは?
この企業内転勤ビザの要件の一つとして「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける事」という要件があります。
では、この「同等額以上」とは一体どの程度のことを意味するのか?
場所や地域によってこの金額の上下はありますが、最低限の金額としては月額20万円程度の給与が必要です。
この要件において問題になりやすいケースは、日本よりも物価が安い現地通貨で給与を支払う場合です。
現地では、高い給与額だとしても、その金額設定の場合は、在留資格の申請をしたとしても不許可になる可能性が極めて高くなります。
ちなみに、給与支払者に関しては、現地企業でも日本企業でも特段問題はありません。
また、現地企業と日本企業双方から給与が支払われるようなケースも合計して日本人同等であれば問題ありません。
<企業内転勤ビザのポイント>
・単純労働はできない
・日本での勤務期間が一定期間と定められている
<企業内転勤ビザの要件>
・申請直前1年以上海外にある本店や支店などで継続して勤務していること
・申請直前1年以上継続して「技術・人文知識・国際業務」に係る職務に従事していること
・日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
・申請する外国人の方が会社などと雇用契約を結んでいること
・契約を結んだ会社などの経営状況に「安定性」や「継続性」があること
・前科など過去に不良に該当する在留事実が無い事
・日本においても「技術・人文知識・国際業務」カテゴリーに該当する仕事をする事